渡渉のたびに、靴の中がグチョグチョになる。休憩のたびに靴下を脱いで絞る。予備の靴下は何足あっても足りない気がして、結局リュックの中は靴下だらけになる。防水と謳うシューズを履いていても、足首から水が浸入してくれば結果は同じだ。
「One Sock」は、この「靴を防水にする」という発想そのものをひっくり返し、「靴下自体を防水にする」ことで解決しようとしているアイテムだ。

靴を防水にするか、靴下を防水にするか
防水シューズは、履き口から水が入れば意味がない。防水スパッツを併用しても、結局は「濡れた靴下をどう乾かすか」という根本問題は残ったままだ。One Sockが選んだのは、靴ではなく靴下そのものに防水膜を仕込むという、シンプルだが徹底したアプローチだった。
何が便利になる?
①渡渉も、雪道も、雨の中の作業も、靴下を替えずに乗り切れる。内側にTPU素材の防水膜をサンドイッチした3層構造で、1メートルの水中に6時間沈めても内側は完全にドライな状態を保ったという検証結果がある。川を渡る、雪に足を突っ込む、雨の中で作業する――そのたびに靴下を替える必要がなくなる。

②防水なのに蒸れない。水滴より小さく、水蒸気の分子よりは大きいという微細な孔を持つ膜を使うことで、外からの水は防ぎながら足からの汗は逃がす仕組みになっている。プロの登山ガイド50人が3か月間、雨林から雪原、高山の渓流や砂漠まで様々な環境でテストしたところ、97%が「5時間の連続渡渉後も足はドライだった」と回答したという。
③着替えの靴下を持ち歩かなくてよくなる。結果として、日帰り登山でもロング縦走でも、靴下に割く荷物のスペースそのものが減る。濡れた靴下をジップロックに入れて持ち帰る、というあの地味に憂鬱な作業からも解放される。
+αカラーバリエーションも豊富!!

今の靴下と何が変わるか
スペックの羅列だけでは伝わりにくいので、よくある登山用ソックス・速乾ソックスと並べてみる。
| 項目 | 一般的な登山ソックス | 速乾ソックス | One Sock |
|---|---|---|---|
| 水への耐性 | 浸水するとそのまま濡れる | 乾きは早いが浸水は防げない | 1m水中に6時間沈めても内側はドライ |
| 蒸れ | 厚手だと蒸れやすい | 比較的蒸れにくい | 防水膜ごしに汗を逃がし蒸れを抑制 |
| におい | 雑菌が繁殖しやすい | 製品による | メリノウールの抗菌性でにおいを抑制 |
| 渡渉時の対応 | 替えの靴下が必須 | 替えの靴下が必須 | そのまま渡渉を続けられる |
モノ好き向けの雑学:なぜ「防水なのに蒸れない」が両立するのか
「防水」と「蒸れない」は本来トレードオフになりやすい組み合わせだ。One Sockがこれを両立させている鍵は、内側・中間・外側の3層構造にある。肌に触れる内側は18.5ミクロンの細さのメリノウール。汗を吸っても濡れた感触が残りにくく、天然のケラチンが雑菌の繁殖を抑えてくれる。中間層はTPU素材の防水膜で、水滴よりは小さく水蒸気の分子よりは大きい孔が無数に空いており、雨や川の水は通さずに汗の蒸気だけを外へ逃がす。外側は高強度ナイロンで、つま先とかかとの摩耗しやすい部分を補強してある。この防水膜は生地の内部に恒久的に挟み込まれているため、表面のコーティングのように使ううちに撥水性が落ちていく心配もない、というのがメーカーの説明だ。

開発状況と支援状況
開発元のcorealumは香港を拠点とするブランドで、今回のOne SockがKickstarterでの初めてのプロジェクトにあたる。実績のある開発元と違い、量産・海外発送を含めた実行力はこれから証明していく段階だという点は、支援を検討するうえで正直に触れておきたい。目標金額自体は255ドルと小さく設定されており、この記事の執筆時点(2026年9月11日)で総額1万2,850ドル、達成率5039%、バッカー数133人に達している。
とはいえ、クラウドファンディングである以上、量産や配送の遅れが起きる可能性がゼロではない点は変わらない。特に初めてのプロジェクトである以上、進捗報告やコミュニケーションの取り方も含めて、購入前に必ずKickstarterの公式ページで最新の状況を確認してほしい。
サイズはMとLの2展開
サイズはM・Lの2展開で、キャンペーン終了後にカラーとあわせて選択する仕組みになっている。目安は以下の通り(足長はcm換算)。
| サイズ | 足長の目安 | USサイズ(メンズ/レディース) | UKサイズ | EUサイズ |
|---|---|---|---|---|
| M | 約23.0〜25.9cm | 6〜9 / 6.5〜10 | 5〜8 | 37〜42 |
| L | 約25.9〜30.5cm | 9.5〜12.5 / 10.5〜13 | 9〜11.5 | 43〜48 |
普段履いているスニーカーや登山靴のサイズ(cm)を目安に選べば大きく外れることはなさそうだが、ちょうど境目のサイズにあたる場合は公式ページで実測の足長を確認してから選ぶのが安心だ。
価格・配送・支援にあたっての注意点
リワードは枚数によって割引率が上がっていく仕組みになっている(価格は執筆時点、為替レート1ドル=155円換算の目安、カラー・サイズはキャンペーン終了後に選択)。
| プラン | 価格 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 Pack | HK$275(約$36 / 約5,580円) | 靴下1足(30%オフ) |
| 2 Pack | HK$470(約$60 / 約9,300円) | 靴下2足(40%オフ) |
| 3 Pack | HK$627(約$80 / 約1万2,400円) | 靴下3足(47%オフ) |
| 5 Pack | HK$980(約$125 / 約1万9,375円) | 靴下5足(50%オフ) |
配送先は世界各国が対象になっており、日本への発送にも対応している。配達予定は2026年10月。ただし、公式ページに掲載されている送料の目安表は米国・カナダ・英国・EU・シンガポール・オーストラリアなど主要地域向けのみで、日本向けの送料は明記されていない。実際の送料・関税はキャンペーン終了後のアンケート(サーベイ)で確定する形になるとみられるため、支援を検討する場合は購入前に必ずKickstarterの公式ページで日本への送料・関税の見積もりを確認してほしい。
キャンペーンの締切は2026年9月17日で、目標金額に達した場合のみ課金されるAll-or-Nothing方式となっている。クラウドファンディングという性質上、実際の仕様や配送時期、送料は変更される可能性がある。
川を渡るたびに靴下を替える。休憩のたびに靴を脱いで絞る。そんな小さな儀式の積み重ねから、そろそろ卒業してもいい頃かもしれない。One Sockは、靴下を替える前提そのものをなくしにいく1足だ。


