会議中、資料を読みながら手元のペンを意味もなくカチカチ押してしまう。信号待ちで携帯を触る代わりに、ポケットの中の何かをいじってしまう。荷物が届いたときに限って、カッターやハサミがどこにも見当たらない。

手持ち無沙汰なときについやってしまう癖と、いざという時に頼れる道具。この2つは、たいてい別々のガジェットとして存在している。

DeckShiv Neo(デックシブ・ネオ)は、その両方を1つの金属ブロックに閉じ込めた、磁石で動くスライド式のフィジェット・ユーティリティナイフだ。

DeckShiv Neoを手に持っている様子
Photo: Kickstarterより引用(製品提供元)

「ただ押したくなる」ために、機構をまるごと作り直した

前作DeckShivは「実用性がありながら、手が勝手に触りたくなる道具」というアイデア自体を証明した。Neoはその先、「では最高の押し心地とは何か」という問いに向き合って作られている。開発チームは新機能を足すのではなく、スライドの機構そのものを一から見直した。

6.6mmという、半端な数字にした理由

スライドの移動距離は6.6mm。短すぎるとフィードバックが育つ前に動きが終わってしまい、長すぎると押すたびに「作業」のように感じてしまう。この6.6mmという数字は、指がその違いを感じ取れるギリギリのラインとして選ばれている。

磁石を2個から4個に。狙ったのは強さではなく「応答」

Neoは本体側とスライドカバー側、それぞれに磁石ペアを配置し、磁石の数を2個から4個に増やしている。ただし目的は磁力を強めることそのものではない。押すと抵抗を感じ、指を離すと磁力がスライドを引き戻す。押した先に「クリック」という手応えがあり、戻ってくる感触がある。この「動くだけでなく、応える」感覚が、何度も押したくなる理由になっている。

4つの磁石によるスライド機構の説明
Photo: Kickstarterより引用(製品提供元)

終わり方まで、きちんと設計されている

スライドはPin(ピン)とStop Pin(ストップピン)という2つの部品で、移動の終端をはっきりと定義している。「あと少し動くかも」という曖昧さがなく、指が信頼できる「止まる場所」がある。真鍮のガイドレールも、薄い板から削り出しの一体パーツに変更され、接触面が単なる面ではなく、ガイド付きのトラック内に収まるよう設計し直されている。

刃は消耗品、機構は資産

DeckShiv Neoが使うのは、汎用のSK5ユーティリティブレード。特殊な専用刃を用意する必要はなく、切れ味が落ちたら市販のブレードに交換するだけでいい。面白いのは、刃を外しても機構そのものは何も変わらないという点だ。同じ移動距離、同じ抵抗、同じ戻り方、同じ終端。刃があれば道具になり、なければ純粋なフィジェットとして手元に残る。

素材はチタン・アルミニウム・PEI(樹脂)の3種類から選べ、どれも同じ機構・同じ押し心地を共有している。手に合う重さと質感で選べばいい。

ペンのノック音や、カッターを探す手間と、何が違うのか

「結局、ペンをカチカチすればいいのでは」という声にも正直に答えておきたい。ペンのノックは音が響くし、実用性はゼロだ。逆にカッターは実用的だが、手持ち無沙汰なときに意味もなく触るようなものではない。

ペンのノック / 一般的なカッター DeckShiv Neo
手触りの満足感 ノックは単調、カッターは無関心 4磁石が生む抵抗と戻りの手応え
実用性 ノックはほぼゼロ SK5ブレードで実際に切れる
刃の扱い 専用品や使い切りが多い 汎用ブレードを自分で交換

価格・配送・注意点

Kickstarterでの支援価格は、アルミニウム版が10日間限定の早割49ドル(通常79ドルから38%オフ、約7,840円〜が目安)、PEI版が早割55ドル、チタン版が早割79ドルなどから選べる。いずれも送料無料。2個セットのペアパックも用意されている。

配送先は世界各国に対応(送料無料)。配達予定は2027年1月。

目標額は1,800ドルとごく小さく、すでに2万4,000ドル以上を調達済み(達成率は1345%超、支援者270人)。All or Nothing方式のため、締切(2026年9月30日)までにこの状態が続けば支援は確定する見込みだが、最終的な確定は締切時点での結果による。

情報源: Kickstarterページ(2026年9月3日時点)。円換算は参考レート(1ドル=160円)による目安。実際の支援価格・送料・発送時期は変動する可能性があるため、支援前に必ず公式ページで確認を。