また入力するのか。Macのロック画面。sudoのパスワード。SSHの鍵。Gitの署名。最初は面倒なだけだった。でも一日に何十回も繰り返しているうちに、面倒はいつの間にか苛立ちに変わり、気づけば「今日も認証だけでどれだけ時間を溶かしたんだろう」と数えたくなるところまで来ていた。しかもMac miniやMac Studio、iMacには、そもそも指紋センサーがついていない。外部ディスプレイでMacBookを閉じて使っている人も同じで、Touch IDを使うためだけに、毎回律儀に蓋を開け閉めするはめになる。

immurok(読み方は公式には未確認、以下イムロックと表記)は、その全部を、指を置くだけの0.5秒に変えてしまう。

指を置くだけで、終わる。

画面ロック解除も。sudo実行も。TOTPコードの発行も。システムの許可プロンプトも。SSH認証も。Git署名も。APIキーの解錠も。Bluetoothでペアリングしていれば、これ全部が指を置くだけの0.5秒で済む。使い慣れたキーボードはそのまま、Touch IDの機能だけを後付けする感覚に近い。

本体はオレオクッキー1枚とほぼ同じ、44×44mm・重さ40g。デスクの隅に置いても、存在を主張しない。

immurokとオレオクッキーの大きさ比較
Photo: Kickstarterより引用(製品提供元)

AIエージェントの「最後の一押し」だけ、人間の指に残す

コードを書く。テストを回す。サービスを再起動する。ブランチをpushする。AIエージェントに作業を任せる場面が増えるほど、承認しなければいけない操作も増えていく。パスワードなしのsudoと長期有効なSSH鍵を渡して祈るか、2分おきにパスワードを聞かれて心が折れるか、エージェントをがんじがらめにした結果、結局自分の手で全部やる羽目になるか。正直なところ、今のところ選択肢はだいたいこの3つで、どれもあまり気持ちのいいものではない。

immurokは違う。エージェントが日常的な作業をこなしている間は、何もしない。権限昇格、秘密鍵へのアクセス、取り返しのつかないコマンド。危険な操作に差し掛かった瞬間だけ一時停止し、指紋を求めてくる。何か重大なことが起きる前に、必ず人間の指を一本、間に挟む。

AIエージェントに鍵を渡すことに、どこかうっすらと不安を覚えたことがある人なら、この感覚はわかるはずだ。

買い替えなくていい、というだけで十分だった

Touch ID付きのApple Magic Keyboardは149ドル。手に入れるには、キーボードごと買い替えることになる。immurokは早割49ドルから。今使っているキーボードに、そのまま足すだけでいい。しかもmacOSだけでなく、LinuxはPAMに直接組み込まれた本体統合(パスワード入力を横取りする擬似的な方式ではない)で、Windowsもコミュニティの要望を受けて後から対応した。

Apple Magic Keyboard(Touch ID搭載) immurok
価格帯 149ドル〜(約23,840円〜) 早割49ドル〜(約7,840円〜、通常69ドル)
制約 このキーボードに買い替える必要がある 今使っているキーボードのまま追加できる
対応OS macOSのみ macOS・Linux・Windows

1台のimmurokを2台のPCに登録して、指紋で使い分けることもできる。指紋Aで仕事用Macにログインし、指紋Bで私用のWindows PCに切り替え、また指紋Aでログイン、指紋Bで元のMacに戻る。仕事用と私用を分けたい人にも、2台買うほどでもないという人にも、これ1台で足りる。

immurok1台を2台のPCに登録して指紋で切り替える様子
Photo: Kickstarterより引用(製品提供元)
immurok1台を2台のPCに登録して指紋で切り替える様子
Photo: Kickstarterより引用(製品提供元)

「鍵を『PCの外』に置く意味。SSH秘密鍵をパソコン内ではなくimmurok本体に保管するのは、万一PCがマルウェアに感染しても鍵そのものは盗み出せない、という物理的な切り離しの発想。」

SSH秘密鍵は最大32本、TOTPは128件、APIキーは50件、指紋は5つまで登録できて、すべて本体の中だけに留まる。誰かが分解して中身を抜き出そうとすれば、immurokは内部データを即座に消去する。ハードウェア設計・macOSアプリ・PAMモジュール・Linuxアプリ・ファームウェアはすべてGitHubで公開されていて、第三者が検証できるようになっている。待機時消費電力は50µA以下に抑えられていて、待機だけなら最大2ヶ月もつ。

試作50台は全数、品質検査に合格済み。Discordの抽選で選ばれた先行テスター3人と、10社のメディアの手にはすでに実機が渡っている。開発元のSuper Dog(シンガポール)は「何があっても、支援者全員の手元に届ける」と明言している。

地味だけど、毎日効く。それがimmurokだ。

価格・配送・注意点

Kickstarterでの支援価格は、1台なら早割49ドル(通常69ドル)〜、2台セットなら95ドル〜、3台セットなら139ドル〜(いずれも早割・約7,840円〜が目安)。複数デスクや家族・チームで使う場合は複数台セットも用意されている。日本への発送にも対応しており、追加送料はS$7(シンガポールドル、約830円が目安)。

immurokの支援プラン別価格(1台・2台・3台セット)
Photo: Kickstarterより引用(製品提供元)

情報源: Kickstarterページ(2026年8月29日時点)。円換算は参考レート(1ドル=160円、1シンガポールドル=118円)による目安。実際の支援価格・送料・発送時期は変動する可能性があるため、支援前に必ず公式ページで確認を。