FPSで敵を発見した瞬間、親指でスティックをぐっと倒してエイムを合わせる。ヘッドショットを取りたいのに、コンマ数秒のズレでいつも一歩遅れる。上達すればするほど、「本当はもっと速く、もっと正確に狙えるはずなのに」というもどかしさだけが募っていく。
「XGUN PRO」は、この「スティックで狙う」という前提そのものを疑い、銃のように持って画面に向けるだけで照準が合う変形式コントローラーだ。
狙うのはスティックか、手そのものか
一般的なコントローラーは、狙うという動作を「親指の動き」に変換する。スティックを倒す、カーソルが動く、引き金を引く。それで成立してはいるが、実際に狙っているのはあなたの手ではなく、あなたが操作したスティックの角度でしかない。XGUN PROが選んだのは、「手そのものに狙わせる」という発想の転換だった。画面に向けて構えれば、照準はその方向についてくる。スティックで画面全体を動かして無理やり合わせる必要がない。
何が便利になる?
①見た的に、そのまま照準が合う。「Free Aim」モードでは、カメラ(視点)を固定したまま、XGUN PROを動かした分だけ照準が画面上を移動する。的を見て、そこに向ける。それだけで狙いが定まる感覚は、スティックでカーソルを追いかけていた操作とは根本的に違う。
②視点操作と狙いを、状況に応じて使い分けられる。視点そのものを動かしたい場面では「Motion Aim」に切り替えれば、XGUN PROの動きが視点移動になり、照準は画面中央に固定される。さらに「Hybrid Aim」では、画面内は自由に狙いつつ、端まで到達すると自動的に視点が追従する。3つのモードはワンクリックで切り替え可能で、プレイスタイルやゲームに応じて選べる。
③引き金を引いた感触が、画面の中の反動と一致する。内蔵の反動モーターが、トリガーを引くたびに物理的な衝撃を返してくる。単発、連射など4パターンの反動を選べるため、「見た目は撃っているのに手には何も伝わらない」という違和感がなくなる。

普段のコントローラーと何が変わるか
通常のゲームパッドや、据え置きのライトガン型デバイスと並べてみると、XGUN PROの立ち位置がわかりやすくなる。
| 項目 | 一般的なゲームパッド | 据え置き型ライトガン | XGUN PRO |
|---|---|---|---|
| 照準の合わせ方 | スティックでカーソル移動 | 銃口を画面に向けるのみ | Free/Motion/Hybridの3方式を切替 |
| 通常のゲームパッド操作 | 対応 | 非対応が多い | そのまま通常コントローラーとしても使用可 |
| 反動フィードバック | 振動のみが多い | 製品による | 専用モーターで4パターンの物理反動 |
| 形状 | 固定 | 銃型に固定 | ゲームパッド⇄銃型に変形可能 |
| 対応プラットフォーム | 製品による | 据え置き機中心 | PC/PS4・PS5/Switch(対応度は環境により異なる) |
モノ好き向けの雑学:なぜ画面に何も取り付けずに位置を検出できるのか
据え置き型のライトガンの多くは、画面の前に専用センサーを貼り付けたり、画面自体を認識させたりする手間が必要になる。XGUN PROが採用しているのは「4-Point IR(赤外線)トラッキングシステム」で、画面の周囲に4つの位置決めライトを置くことで、コントローラーが自分の向いている方向を常時検出する仕組みだ。このポジショニングユニットは本体に同梱されており、パソコンのモニターでもテレビ画面でも、プロジェクターのスクリーンでも使える汎用性を持つ。1000Hzのモーショントラッキングと6msの応答速度により、素早く振り向いても照準がついてこられるように設計されている。移動・視点操作・メニュー操作にはHall Effect(ホール効果)方式のスティックを使っており、経年劣化しやすい従来のポテンショメーター式スティックに比べて、ドリフト(勝手にカーソルが動く現象)が起きにくいとされる点も地味に効いてくる部分だ。
PC版では専用のコンパニオンアプリがSteamのライブラリと連携し、対応タイトルを選んで実行するだけで細かい設定なしにプレイを始められる。ゲームごとに照準の色や大きさも調整できる。将来的には分解用の六角ねじやDIYシェルを使って、自分好みの見た目にカスタマイズしたり、コミュニティが公開するテンプレートで独自のパーツを作ったりすることも想定されている。

開発状況と支援状況
開発元のXgun(米ワイオミング州)は、今回のXGUN PROがKickstarterでの初めてのプロジェクトにあたる。実績のあるブランドと違い、量産・品質管理・海外発送を含めた実行力はこれから証明していく段階だという点は、支援を検討するうえで正直に触れておきたい。チーム自身もリスクとして、①量産移行にともなう部品公差・組立精度・歩留まりの課題、②ゲームやプラットフォーム側のアップデートによる対応状況の変化、③国際発送における通関・物流遅延の可能性を挙げている。なお、ゲーム対応表の整備や設定プロファイル作成の一部でAIツールを社内的に活用しているが、製品自体の設計・製造・検証はチームが行っていると説明されている。
目標金額1万ドルに対し、この記事の執筆時点(2026年9月11日)で総額5万3,006ドル、達成率約530%、バッカー数210人に達しており、資金面での達成自体はすでにクリアしている。とはいえクラウドファンディングである以上、初めてのプロジェクトが量産・配送の過程で遅れる可能性がゼロではない点は変わらない。購入前に必ずKickstarterの公式ページで最新の進捗を確認してほしい。
価格・配送・支援にあたっての注意点
リワードは対応プラットフォームや同梱内容によって複数のプランが用意されている(価格は執筆時点、為替レート1ドル=155円換算の目安)。
| プラン | 価格 | 内容 |
|---|---|---|
| PC/Switch Super Early Bird | $159(約2万4,645円) | XGUN PRO本体、4点IRトラッキングシステム、専用データケーブル、2.4Gレシーバー(PC/Switch/Switch 2対応) |
| PC/Switch Kickstarter Price | $179(約2万7,745円) | 同上構成 |
| XGUN PRO + SMGキット バンドル | $238(約3万6,890円) | XGUN PRO+SMGキット、周辺機器一式(PS用アダプター別) |
| PC/PlayStation Edition | $239(約3万7,045円) | XGUN PRO本体、PS用アダプター、周辺機器一式(PS4/PS5対応) |
| XGUN PRO + ARキット バンドル | $258(約4万190円) | XGUN PRO+ARキット、周辺機器一式(PS用アダプター別) |
| Founder’s Collector Edition | $499(約7万7,345円) | 限定カラー、シリアルナンバー入り認定証、専用ディスプレイスタンド等の限定セット |
配送先は世界各国が対象になっており、日本への発送にも対応している。ただし日本向けの具体的な送料は現時点のページ上では明記されていないため、支援前に必ずKickstarterの公式ページか、進捗アップデートで確認してほしい。配達予定は2027年1月。
キャンペーンの締切は2026年10月16日21時00分で、目標金額に達した場合のみ課金されるAll-or-Nothing方式となっている。すでに目標は達成済みだが、クラウドファンディングという性質上、実際の仕様や配送時期、送料は変更される可能性がある点は念頭に置いておきたい。
親指の角度で敵を捉える。コンマ数秒のズレを、練習量でねじ伏せようとする。そんなFPSとの向き合い方を、そろそろ手放してもいい頃かもしれない。XGUN PROは、狙うという行為を指先から手そのものに取り戻しにいく1台だ。

