スマホ、財布、鍵、イヤホン、モバイルバッテリー、折りたたみ傘。「ちょっと出るだけ」のつもりが、気づけば両手はふさがり、肩にはバッグ。突然の雨にも対応できる一着だけ着ていければ――そんな都合のいい話が、Kickstarterで2000%を超えて支持を集めている。

朝は普通の通勤。だが天気は変わりやすく、退勤時にはゲリラ豪雨。ちょっとした外出のつもりが、気づけば一日仕事の予定に変わっている。

そのたびに私たちは、スマホ、財布、鍵、イヤホン、充電器、そして折りたたみ傘までをバッグに詰め込んできた。

クラシックなトレンチコートは見た目こそきれいだが、荷物はほとんど入らず、雨にも弱い。一方の高機能な防水シェルは天候には強いが、オフィスや会食の場には少々ゴツすぎる。

そして結局、荷物のための「もう一つのバッグ」を持つ羽目になる。ジャケットは街用、シェルは天候用、バッグは荷物用――3つに分かれていたものを、ニューヨーク発のAlpargaliは1着にまとめようとしている。

地下鉄のホームで、黒いAlpargali Cargoの内側ポケットを開いて見せる男性
内側にはガジェットや貴重品を分散収納できるポケットが並ぶ

19個のポケットは「量」ではなく「配置」の設計

Alpargali Cargoの核となるのが「CarryCore 19-Pocket System」だ。ポイントは、ポケットの数そのものより配置にある。

とっさに使うものは外側の取り出しやすい位置に、パスポートや財布など貴重品は体に近い内側に、ケーブル類やモバイルバッテリーといった細かいガジェットは仕切られたオーガナイザーに、そしてかさばる荷物は下部の拡張ポケットに――というように、用途ごとに置き場所が決まっている。

「たくさん入る」だけのバッグは、結局どこに何を入れたか忘れて、結局中身を全部机の上にぶちまける羽目になる。Alpargali Cargoが目指しているのは、その逆――探す時間そのものをなくすことだ。

建物の前でAlpargali Cargoを着用して立つ男性
クラシックなトレンチのシルエットを保ちながら、内部に収納機能を持たせている

生活が変わる3つのポイント

1. 「バッグを持つかどうか」で悩まなくなる
内側のポケット部分は取り外して連結し、そのまま1つのバッグとしても使える設計になっている。ジャケットを脱いだ後は背中に固定することもできるため、電車の中で置き場所に困ることも減る。

2. 突然の雨でもコートを変えなくていい
PFAS(有害な有機フッ素化合物)を使わない防水メンブレンを採用し、耐水圧15,000mm以上に対応。縫い目もすべてシームテープで処理されており、縫い目からの浸水を防ぐ。ハスの葉を参考にしたというDWR(撥水)コーティングは、水を弾くというより「転がして落とす」レベルの撥水性を狙ったものだ。

3. 蒸れずに、都心でも浮かない
防水性を高めると引き換えに蒸れやすくなるのが技術系アウターの弱点だが、内部の湿気を逃がす透湿性(8K相当)も確保しているという。見た目はあくまでクラシックなトレンチのシルエットを保っているため、オフィスや商談の場でも違和感がない。

「バッグ+ジャケット」の組み合わせと何が違うのか

一般的なトレンチコート+バッグ一般的な防水シェル+バッグAlpargali Cargo
収納バッグ次第(コート自体はポケット少なめ)バッグ次第19ポケットで本体に分散収納、必要ならバッグにも変形
防水性低い高い耐水圧15,000mm+シームテープ処理
オフィスでの見た目良いゴツくなりがちトレンチのシルエットを維持
持ち物ジャケット+バッグの2点シェル+バッグの2点ジャケット1点で運用可能

シリーズ7作目のブランドが積み上げてきた設計思想

Alpargaliというブランド名は、高山地帯を意味する「alpine」と、そこに適応して生きる野生の羊「argali」を組み合わせた造語だという。「予測できない環境でも機能し続ける」という設計思想がそのまま社名になっている。

Kickstarterでは今回のCargoで7件目のプロジェクトとなり、これまでにも全天候型ジャケットなどを展開してきた実績がある。今回のキャンペーンにもすでに450人以上(記事執筆時点)が支援しており、Kickstarterの「Project We Love」にも選ばれている。

価格・配送・注意点

アーリーバード価格はジャケット単体で199ドル(参考小売価格329ドルから約40%オフ)。防寒用の裏地「NimbusCore Fleece」とのセット(Adaptive Set)は258ドル(参考小売価格428ドルから約40%オフ)で用意されている。カラー・サイズは、支援後に届くアンケートで選択する仕組みだ。

配送は世界各国に対応しているが、関税や現地の手数料についてはKickstarterページ内の「Shipping Fee」欄で国ごとの目安が案内されている。日本への発送時の実費については、支援前に必ず最新情報を確認してほしい。

お届け予定は2026年11月。キャンペーンは2026年10月3日23時(日本時間)締切のAll or Nothing方式で、記事執筆時点で目標金額の2000%を超えて達成しているが、これはあくまで現時点の状況であり、最終的な生産・配送スケジュールを確約するものではない点には注意したい。