テント泊の荷物を並べてみると、地味にかさばっているものがある。エアマットを膨らませるポンプと、テント内を照らすランタン。どちらも軽量・コンパクトを謳ってはいるが、結局は別々の道具として、パッキングの中でそれぞれスペースを取っている。

「BEAM PUMP」は、この「ポンプとランタン、2つ持たなければいけない」という前提そのものを疑い、両方を78gの筒1本に統合したアイテムだ。

2つ持つか、1つで済ませるか

エアポンプは口で膨らませる手間を省いてくれるが、それ専用の荷物が増える。モバイルランタンは便利だが、結局ポンプとは別に充電・収納しなければならない。どちらも「あると便利」レベルの道具を律儀に2つ持ち歩き、ザックの重量とスペースを地味に圧迫する――バックパッカーなら誰しも一度は感じたことのある小さな不満だろう。BEAM PUMPは、この2つの役割を1本の筒に統合することで、荷物そのものを減らしにいく。

何が便利になる?

①マットを膨らませる作業が、ほぼ待つだけになる。300L/分の送風量と5kPaの圧力で、フルサイズのスリーピングマットを約40秒で膨らませる。口で吹き込む、手押しポンプを何十回も往復させる、といった作業から解放される。Therm-a-Rest、Sea to Summit、Exped、Big Agnes、Klymit、Nemoなど主要ブランドのマットに対応するユニバーサルノズルを備えており、ブランドを問わず使える可能性が高い。

フルサイズのスリーピングマットがBEAM PUMPで約40秒で膨らむ様子

②夜のテント内で、もう1つの道具を探さなくていい。最大300ルーメンで6/60/160/300lmの4段階に調光でき、最大50時間の連続点灯に対応する。設営時の明るい光から、就寝前の柔らかい光まで、ランタン1つで幅をカバーする。

③荷物の体積そのものを圧縮できる。ワンプッシュで空気を抜くバキューム機能も備えており、約30秒で衣類やシュラフなどの収納体積を最大85%圧縮できる。ポンプ・ランタンとしてだけでなく、パッキング全体を効率化する道具としても使える。

BEAM PUMPのノズルをスリーピングマットに差し込んで空気を入れている様子

普段の装備と何が変わるか

単体のエアポンプや単体のランタンと並べてみると、BEAM PUMPの立ち位置がわかりやすくなる。

項目単体のエアポンプ単体のランタンBEAM PUMP
重量・持ち物数ポンプ分が別途必要ランタン分が別途必要1本(78g)で両方兼用
マット膨張時間製品による–約40秒(300L/分)
照明非対応製品による最大300lm・4段階・最大50時間
収納圧縮非対応が多い非対応バキュームで最大85%圧縮
動作音製品による–65dB(低騒音設計)

モノ好き向けの雑学:電池切れでも止まらない設計

BEAM PUMPには6種類の交換式ノズルが付属し、主要なスリーピングマットだけでなく、エアベッド、浮き輪、ゴムボート、バキューム収納袋まで幅広く対応する。キャンプだけでなく家庭やプールサイドでも使い回せる汎用性がある。また、2台のBEAM PUMPをA10ノズルで連結すると圧力を高められる仕組みも用意されており、メーカーは最低10kPaの出力を保証している(製造上のばらつきにより実際の性能は個体差があるとのこと)。もうひとつ地味に効くのが、本体の内蔵バッテリーが切れてもUSB-C対応のモバイルバッテリーを接続すればそのまま使い続けられる設計だ。バッテリー切れで「マットを膨らませられない」「ランタンが点かない」という、キャンプで一番困る事態を避けやすくなっている。

バックパックのストラップにカラビナで取り付けられたBEAM PUMP

開発状況と支援状況

開発元のOUTZACは香港を拠点とするメーカーで、Kickstarterでのプロジェクトはこれが3回目にあたる。自社工場を持ち、サプライチェーンを垂直統合しているとチーム自身が説明しており、外部の製造委託に全面的に依存する初期段階のハードウェアチームと比べると、製造面のコントロールは利きやすい立場にあるという。すでに金型は完成し、現在は試作・量産検証の段階に入っているとのことだが、チーム自身も、小ロットのテストから大量生産へ移行する過程では部品公差や組立精度、歩留まりなどの課題が起こりうる点、また国際発送では通関や物流遅延の影響を受けうる点をリスクとして挙げている。実績のあるチームであっても、量産・配送に関する不確実性がゼロになるわけではない、という前提は踏まえておきたい。

目標金額9,999ドルに対し、この記事の執筆時点(2026年9月11日)で総額10万4,350ドル、達成率約1,044%、バッカー数1,612人に達している。購入前には必ずKickstarterの公式ページで最新の進捗を確認してほしい。

価格・配送・支援にあたっての注意点

リワードは数量限定で、価格は香港ドル建て(価格は執筆時点、参考USD表示はKickstarter側の換算、為替レート1ドル=155円換算の目安)。

プラン価格内容
Early Bird×1HK$265(約$34、約5,270円)BEAM PUMP 1台
Early Bird×2HK$500(約$64、約9,920円)BEAM PUMP 2台
Camping PackHK$620(約$80、約1万2,400円)BEAM PUMP+アクセサリー(4点)
Vacuum PackHK$855(約$110、約1万7,050円)BEAM PUMP+アクセサリー(4点)
Team Pack×5HK$1,090(約$140、約2万1,700円)BEAM PUMP 5台
All-In-One PackHK$1,560(約$199、約3万845円)BEAM PUMP+アクセサリー(8点)

価格にはVAT・関税が含まれ、Kickstarter限定の2年保証も付帯するとのことだが、配送料はキャンペーン終了後に別途請求される仕組みになっている。配送先は世界各国が対象で日本への発送にも対応しているが、日本向けの具体的な送料は現時点のページ上では明記されていないため、支援前に必ずKickstarterの公式ページか、進捗アップデートで確認してほしい。配達予定は2026年10月。

キャンペーンの締切は2026年9月28日22時29分で、目標金額に達した場合のみ課金されるAll-or-Nothing方式となっている。クラウドファンディングという性質上、実際の仕様や配送時期、送料は変更される可能性がある点は念頭に置いておきたい。

マットを膨らませるためにポンプを探す。ランタンの電池残量を気にする。テント泊のたびに繰り返してきたその小さな手間を、そろそろ1本にまとめてもいい頃かもしれない。BEAM PUMPは、荷物を減らすという地味な作業を、道具の統合という力技で解決しにいく1本だ。