猛暑の中、ジーンズを履いて出かける。数分歩いただけで太ももに熱がこもり、汗ばんだ生地が肌に張りつく。「夏はジーンズを諦めて短パンにするか」「我慢して履くか」。その二択に、日本の伝統織物メーカーが本気で挑んできた。

デニムは好きだ。でも夏は正直しんどい。分厚い生地は熱を溜め込み、汗をかけば肌にべったり張りつき、ズボン一枚で体感温度が上がる。かといって短パンは、オフィスや商談の場にはさすがに履いていけない。

「涼しいけれど、ジーンズに見える」。そんな都合のいいものは存在しない――多くの人がそう思って、毎年同じ我慢を繰り返してきたはずだ。

東京の老舗アパレルメーカー・Marunya Bussanが目をつけたのは、蚊帳(かや)づくりに使われてきた日本古来の織り方だった。

蚊帳の技術を、デニムに変換するという発想

Air Jeans 1.0の核となる生地「KAYA DENIM」は、蚊帳づくりに使われてきた「絡み織り(からみおり)」という日本古来の織り方を応用してつくられている。糸を撚り合わせながら交差させるこの織り方は、通常の織り方では出せない通気性と丈夫さを両立できるのが特徴だ。

見た目は普通のデニムそのものだが、生地の内部は目の粗いメッシュ構造になっている。歩くたびに生地の中を空気が通り抜けるため、蒸れずに涼しさを感じられるという仕組みだ。

福井県で織られた生地は、岡山・広島という日本を代表するデニムの産地で、30年以上ヴィンテージデニムに携わってきたデザイナーの監修のもと、職人の手によって1本ずつ縫製される。YKK製のジッパー・ボタン・リベットを使い、擦り切れやすい後ろポケットや中心の縫い目は二重仕立てにするなど、伝統的なデニムづくりの作法もそのまま踏襲している。

KAYA DENIMのメッシュ状の織り構造

生活が変わる3つのポイント

1. 「今日は暑いから諦める」がなくなる
一般的なデニムより約10°F(約5.6℃)涼しいとされ、真夏の炎天下でも歩き回った後のこもった熱さを感じにくいという。見た目はきちんとしたデニムのまま、体感だけが変わる。

2. 汗をかいても、乾かす手間に悩まなくなる
一般的なデニムの10倍の速さで乾くとされ、汗をかいても、雨に降られても、洗濯してもすぐに乾く。出張や旅行で「何本持っていくか」を考える手間も減らせる。

3. ベルトを締め付ける不快感から解放される
「Freedom Waist System」という独自の内蔵ベルト機構により、ベルトなしでウエストを調整できる。食後や自宅でくつろぐ時にウエストを緩めることができ、締め付け感のストレスがなくなる。透け防止のメッシュ裏地もついているため、下着が透ける心配もない。

ベルトなしでウエストを調整できる内蔵システム部分

一般的な夏用ジーンズ・ストレッチデニムと何が違うのか

一般的なデニム一般的なストレッチデニムAir Jeans 1.0
涼しさ蒸れやすい素材次第一般的なデニムより約10°F涼しい
乾く速さ標準標準一般的なデニムの10倍速で乾燥
重さ標準やや軽量なものも約333g軽量(缶ビール1本分)
ストレッチ性硬く動きにくい弾性糸でよく伸びるが型崩れしやすい織り構造自体の伸縮性、弾性糸不使用
ウエスト調整ベルト必須ベルト必須ベルトなしで調整できる内蔵システム

数値は一般的なデニムとの比較におけるメーカー発表値であり、着用環境や個体差によって体感は変わる。

国内クラウドファンディングで7回、5000万円超を積み上げてきたメーカー

Marunya Bussan Co., Ltd.は創業24年の日本のアパレルメーカーで、「ANALOG LIGHTING」というブランドを展開している。国内のクラウドファンディングプラットフォームではこれまでに7件のプロジェクトを実施し、累計5000万円以上の支援を集め、すべてのバッカーへのリワード提供を完了させてきたという実績を持つ。

デニムづくりの中心にいるのは25年のキャリアを持つファッションデザイナーで、日本のプレミアムデニム市場に携わり続けてきた人物だ。「夏でも快適に着られるデニムをつくりたい」という5年越しの構想が、今回のAir Jeans 1.0という形になった。

なお、今回がMarunya Bussanにとって初めてのKickstarterプロジェクトとなる。国内クラウドファンディングでの実績は豊富だが、Kickstarterを通じた海外発送やサポート対応は未知数な部分もある。特に配送面では、米国向けの少額輸入品に対する免税措置(De Minimis)が制度変更により縮小されたことで、米国のバッカーは輸入関税を負担する可能性があるとクリエイター自身が明記しており、この点は正直に共有しておきたい。

価格・配送・注意点

早期割引価格は22,050円(参考小売価格から37%オフ)、通常価格は23,800円。2本セットは44,100円、3本セットは64,050円(39%オフ)、4本セットは82,600円(41%オフ)、5本セットは98,000円(5本目が実質無料)と、まとめるほどお得になる設計だ。サイズは28・30・32・34・36インチから、カラーはブラックまたはネイビーから、キャンペーン終了後のアンケートで選択する。

送料はKickstarterの決済とは別に、キャンペーン終了後「PledgeBox」という仕組みを通じて個別に案内・請求される。手数料を抑えるための対応とのことだが、支援時点の金額には送料が含まれていない点は事前に理解しておきたい。配送不可の国・地域も一部指定されているため、居住地によっては支援前にKickstarterページで確認が必要だ。

お届け予定は2027年8月と、やや先の日程になっている。キャンペーンは2026年9月30日23時59分(日本時間)締切のAll or Nothing方式で、記事執筆時点ですでに目標金額を大きく超えて達成しているが、これはあくまで現時点の状況であり、最終的な生産・配送スケジュールを確約するものではない。